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【介護事業所の増減推移】過去9年で全国の事業所数はどう変化したか?

2022/05/11
【介護事業所の増減推移】過去9年で全国の事業所数はどう変化したか?

団塊の世代が75歳を超える2025年には後期高齢者の数が2200万人を超えると推計されるなど、日本の高齢化は進んでいます。高齢化の進行に伴い、今後も介護事業所の需要が高まることが予想されています。介護事業所の需要の動向を知るために、2012(平成24)年から2020(令和2)年までの介護事業者数の増減を調査しました。この記事では、介護サービスの業態ごとに、介護事業所の増減の推移と要点を解説します。

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1.厚生労働省の提供データから全国事業所数の増減推移を調査

厚生労働省は毎年10月1日時点で、活動中の介護施設・介護事業所を集計し「施設・事業所調査の状況」を発表しています。この記事では、その調査を元に介護サービスごとの施設・事業所数の増減を調査しました。

なお、一つの事業所が居宅サービスと地域密着型サービスの両方を行う場合のように、複数のサービスを行っている事業所はそれぞれのサービスの項目で計上しています。また、医療機関がみなしで行っている介護予防訪問介護事業所と介護予防通所リハビリテーション事業所、介護予防短期入所療養介護事業所については2018(平成30)年以降の基本票調査では、調査項目から除外されています。

2.居宅サービス事業所の増減推移

2012年から2020年までの全国の居宅サービス事業所数の増減推移をみると、訪問介護事業所や通所リハビリテーション事業所が微増していることが分かります。訪問看護ステーションや特定施設入居者生活介護事業所が増加した一方、訪問入浴介護事業所は数を減らしています。ここでは居宅サービス事業所の増減推移を説明します。

2-1.訪問看護ステーションはほぼ倍増

2012年10月時点では6590施設だった訪問看護ステーションは、2020年には12393施設に増え、増加率が188%とほぼ倍の数です。少子高齢化が進む中、在宅での看取りや在宅ケアの需要が高まっていることが増加の要因となっています。

2-2.通所介護(デイサービス)は大きく増加後に横ばい

通所介護事業所および地域密着型通所介護事業所は、2012年から2015年までの3年間で34107施設から43406施設へと急増しました。その後、微減しながらもほぼ横ばいで、2020年の通所介護事業所と地域密着型通所介護事業所の合計は43754施設です。

2-3.特定施設入居者生活介護なども増加傾向

特定施設入居者生活介護とは、要介護認定された利用者が介護サービスを受けながら可能な限り自立した生活を送れるようにした施設です。自治体から「特定施設」の指定を受けていて、介護付き有料老人ホームや養護老人ホーム、介護型ケアハウスなどが該当します。2012年には3941施設だった特定施設入居者生活介護事業所は、2020年には5454施設に増えています。

ただし、特定施設入居者生活介護は都道府県ごとに総量規制があり、施設の要件を満たしていたとしても「特定施設」とならない場合があり、新規参入が難しい分野です。

2-4.訪問入浴介護は減少

一方、2012年に2410施設あった訪問入浴介護事業所は、2020年には1708施設に数を減らしています。減少の背景には、利用者側の利用回数が減ったことのほか、事業所側の人手不足もあります。しかし、訪問入浴介護はデイサービスを利用できない中等度から重度の在宅用介護者が安心して入浴するために欠かせないサービスです。

3.介護保険施設の増減推移

介護保険施設は特別養護老人ホーム(特養)と呼ばれる介護老人福祉施設、病気療養を終えて退院した高齢者が家庭復帰をめざすまでの入所施設である介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養病床)の3つを指します。この項目では全国の介護保険施設の増減推移を説明します。

3-1.介護老人福祉施設と介護老人保健施設は増加

介護老人福祉施設は2012年には6590施設でしたが、2020年には8306施設へと増えていて、増加率は126%となっています。一方、2019年時点で待機者が約30万人いるといわれるほど、ニーズが高いです。これは施設数は増えたものの高齢者の数も増えているためで、入居までに年単位で時間がかかる場合もあります。

介護老人保健施設も、2012年の3931施設から2020年の4304施設とわずかながら増えています。

3-2.介護療養型医療施設は介護医療院へ

2012年には1759施設あった介護療養型医療施設は、2020年には536施設と大幅に減っています。介護療養型医療施設は、介護ケアと医療ケアの両方を提供する療養施設ですが、医療ケアを必要としない利用者が含まれることや、医療費・介護費が高額になること、人手不足などの問題があるため、厚生労働省は2023年度末までに廃止することを決めました。

一方、介護療養型医療施設の代わりに2018年4月に創設された介護医療院が増加しつつあります。介護医療院は長期療養が必要な要介護者に医療ケアと介護サービスを提供するだけでなく、要介護者の生活の場としての機能も持ちます。また職員の配置基準も利用者の容体によって1型と2型に分けられているのです。

4.地域密着型サービス事業所の増減推移

地域密着型サービス事業所では、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)や訪問介護看護事業所の増加が著しいです。また、地域密着型介護老人福祉施設も954施設から2413施設と、2012年から2020年の9年間で2倍以上の増加を見せました。この背景には、要介護状態になっても住み慣れた地域で生活し続けたいというニーズが反映されています。

5.居宅介護支援事業所の増減推移

居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)は2017年の41273施設をピークに減少傾向にあり、2020年には39284施設でした。減少の理由の一つとして、ケアマネージャーの数が減っていることが挙げられます。

居宅介護支援事業の経営をするには「特定事業所加算」を算定しないと難しいなど経営に課題を抱えています。近年では事業の安定性を図るため、複数の事業所を一つにまとめる集約化・大規模化も進んでいるのです。

介護事業に参入する際は事業所の増減動向を見極めよう

介護が必要な高齢者が増えていくのに合わせて、2012年から2020年の間で全国の介護事業所数は全体的に増えています。中には複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)のように、ここ数年で急増しているサービスもあります。一方で訪問入浴介護や居宅介護支援事業所などは減少傾向です。介護事業に参入する際は、高齢者のニーズを含めた業界動向をよく見極めることが重要です。

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