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障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について解説

2023-04-21
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について解説

厚生労働省は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(以下「障害者総合支援法」)を2022年10月26日に国会に提出し、衆参両院審議を経て可決成立しました。障害者総合支援法は、障害者が人権を尊重され適切な日常生活等を送れるよう、必要な福祉サービス給付、地域生活支援事業やその他の支援などを定めた法律です。ここでは、法律改正の目的と具体的な中身を個別に解説していきます。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案

障害者総合支援法を改正する目的

障害者総合支援法を改正する目的は、障害者等が希望する生活を実現するため、地域生活や就労支援を強化することなどがあります。厚生労働省が作成した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要(以下「法律案概要」)」によると、「障害者等の地域生活の支援体制の充実」「障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進」「精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備」「難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実及び療養生活支援の強化」「障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベースに関する規定の整備等」の5点が主なポイントとしてあげられます。

概要には障害者の地域生活や就労に対する一層の充実支援、精神障害者への適切な医療や支援体制の整備、難病患者等への医療費助成の拡大やデータベース化の法的根拠を新設することなどが盛り込まれました。

障害者総合支援法を改正する法律案の概要

障害者総合支援法は、障害者、知的障害者、精神障害者、難病患者、小児慢性特定疾病児童等を対象にしています。この改正も、障害者、障害児等が地域での生活や就労について、障害者等のニーズに応じた地域におけるきめ細かい支援の充実を背景にしています。次に、前述したそれぞれのポイントごとに、法律案概要について詳しく解説していきます。

障害者の地域生活を支援する体制の強化・実施

障害者の地域生活の支援体制を強化するポイントとして次の3点が盛り込まれています。1点目は、共同生活援助(グループホーム)の業務として、一人暮らしなどを希望される人への支援やグループホーム退去後の相談などを含むことを障害者総合支援法に明記することです。2点目は、障害者が安心できる地域生活の確保に向けて、市町村が次の施設を整備することを努力義務として掲げたことです。対象となる施設は、障害者の地域生活の中心的な相談支援を行う「基幹相談支援センター」及び施設生活から地域生活に移行する推進役の「地域生活支援拠点等」です。

3点目は、都道府県及び市町村が実施している精神保健の相談支援業務に関するもので、現状の精神障害者から精神保健に課題を抱えている人にまで対象を拡大し、それぞれの心身状態に応じた適切な包括的支援を行うことです。

幅広い就労ニーズに応えられる支援と雇用の質向上を推進

障害者のさまざまな就労に対するニーズへの支援と、障害者を雇用する上で質の向上を目指して次の3点をあげています。1点目は、就労を希望する障害者と支援者が協力して就労アセスメントを用いた「就労選択支援」を作り、ハローワークはこの結果を参考に職業指導等を行うことです。就労アセスメントとは、障害者の就労に対するニーズ、能力、適性を評価するとともに働き始めた後に配慮すべきことを整理します。2点目は、障害の特性のため短い労働時間しか就労できない重度身体障害者、重度知的障害者や精神障害者についても就労機会を拡大するため、実雇用率で算定できるようにすることです。

3点目は、事業主が雇用の質向上に向け実施する障害者の職場定着等の取り組みを支援するため、障害者雇用調整金等の支給方法の見直しや新たな助成金を創設することです。

希望やニーズに沿った精神障害者支援体制を整備

精神障害者支援として次の3点が盛り込まれています。1点目は、家族等の意思表示がない場合でも、精神障害者に適切な医療を提供するため、市町村長の同意により期間を定めて医療保護入院ができるようにすることです。ただし、入院後の一定期間ごとに入院の要否を確認することとしています。2点目は、市町村長の同意による医療保護入院者等を対象に、入院者訪問支援員が入院者本人の希望に基づいて病院を訪問し、話を丁寧に聴きつつ、必要な情報提供等を行う「入院者訪問支援事業」を行うことです。3点目は、入院者への虐待防止のため、管理者に従事者への研修や入院者の相談体制整備等の措置を義務づけたことです。また、従事者による虐待が疑われる入院者を発見した場合、都道府県等に速やかに通報することも義務づけています。

難病患者等への医療・療養生活支援を充実

難病患者等への支援について、2点盛り込まれています。1点目は、難病患者及び小児慢性特定疾病児童等の医療費について、重症化したと診断された日から助成できるようになったことです。これまでの申請日からさかのぼって助成されます(ただし、申請日からの遡及期間は原則1カ月です)。2点目は、難病患者の療養生活への支援や小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を充実することです。具体的には、登録者証を発行して、福祉や就労等のさまざまな療養生活支援策のスムーズな利用を促進するとともに、データベースへのデータ登録も促進するのです。また、難病相談支援センターと福祉・就労支援者との連携を強化します。

障害福祉や難病患者等に対するDB関連規定を整備

障害者の福祉サービス等や難病患者及び小児慢性特定疾病児童等の療養生活の質を向上するため、障害者、難病患者等のデータベースの法律的根拠を新設します。また、国の情報収集や都道府県から国への情報提供義務も定められました。さらに、安全管理措置、第三者に提供する際のルールなど諸々の規定を設け、他の公的なデータベースと連結して解析できるようになります。難病患者のデータベースは軽症の指定難病患者もデータ登録できることになりました。

その他

最後に、上記でお伝えした点以外についても解説します。都道府県が通所・訪問サービス等事業者を指定する際に、市町村は障害福祉計画等に鑑み都道府県に意見を提出できます。都道府県は市町村の意見を考慮し、必要な条件を付けられます。事業者が条件に反した場合、勧告や指定を取り消せます。また、居住地特例の対象に介護保険施設等を追加しました。グループホームについても、障害者総合支援法の関連規定の整備を行っています。

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