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介護報酬改定で変わる通所介護 デイサービスの送迎減算はどうなる?

2017/11/06
介護報酬改定で変わる通所介護 デイサービスの送迎減算はどうなる?

2000年に始まった介護保険制度は制度を運用しながら改正を重ねてきました。超高齢化社会を迎えて介護は家族だけでなく社会全体で担うものとして創られた制度ですが、国の公費負担が予想以上の早いスピードで増しています。介護保険制度は3年ごとに改正されていますが、今回は2015年と2018年の改正で通所介護事業所の介護報酬がどのように改定されていくのかに焦点をあてて解説いたします。介護報酬改定に向けて注意点や対応策などを考える機会にしてみましょう。

2015年度改定で設けられた送迎加算とは?

「送迎加算」という言葉を目にして違和感を覚えた人もいるかもしれません。2015年の介護報酬改定では「デイサービス事業所の送迎サービスを使わなかったときは片道の場合は47単位・往復の場合は94単位を減算する」というルールになったからです。1単位10円とすると往復でも940円ですが、月単位や年単位で減算が積み重なれば事業所の収入が大きく減ってしまうことも考えられるルールです。例えば、利用者の自宅と通所介護を提供している事業所の距離が近い場合などは家族が送迎していることもあるでしょう。そのような場合では介護報酬の減算になり公費の負担も減ることになります。

「送迎加算」として挙げられるのは「送迎時に利用者の自宅の中まで入り出かけるための身支度を整えるために30分以内の介護をした場合などは、サービス提供時間に含めることができる」ことです。帰宅時にも自宅の中まで入りベッドまで送り届けるサービスを提供すれば、事業所で過ごす時間が1時間短くても同じ金額の介護報酬を請求することができます。利用者や介護者である家族の実情に応じたサービスのあり方を評価した改定だとする声もありますが、サービスを提供できる職員の確保が難しい事業所もあります。また難病や末期のがんを患っている介護度が重い利用者を対象とした「療養通所介護」では「個別送迎体制強化加算」が新設されました。看護師や准看護師を含む2名以上の職員が利用者を個別に送迎すると加算できる介護報酬で療養通所介護事業所の60%以上が請求しています。しかし療養介護事業所のない都道府県もあるので一般的な事例として挙げるのは適切ではないでしょう。

2018年度の介護報酬改定で通所介護の送迎に関する変更はある?

厚生労働省の中に設けられている社会保障審議会の介護給付費分科会が公表している資料によると通所介護の送迎に関する変更は2018年の介護報酬改定ではないようです。「要介護者の自立を促した事業者を高く評価する仕組みにしていく」ことを強く意識していることが2018年の改定のポイントと言えるでしょう。要介護状態になってから早めに個別機能訓練を実施すると利用者の生活の自立度が高くなるという統計があります。訓練ができる専門職が配置されている事業所の報酬を高くしたり介護度を改善させた実績で加算をしたりするルールを設ける予定です。また効果的で効率的な介護を行うことができる手段として介護ロボットの導入があります。さらに介護保険制度の運用上で必要な書類作成業務の減少を目的として情報のIT化を進める事業所も高く評価しようという動きです。2018年の介護報酬改定に向けて、なんでもやってあげて手厚い介護をする事業所は推進されません。できることは利用者自身が自然にやりたくなるような魅力的な事業所をつくっていく方向に舵取りしていったほうが良いでしょう。病院から地域へ、施設から地域へという地域包括ケアシステムの考え方も注目です。2018年の介護報酬改定でさらに加速されると考えられることからデイサービス事業所が活躍できるチャンスが増えそうです。

送迎はデイサービスの一部分 やらなければ減算が当たり前の時代に

2018年の介護報酬改定でも送迎については変更がないのでサービスを提供する事業所側からすると何のメリットもない改定に感じることでしょう。しかし事業所の職員が送迎に来てくれるから事業所に出かけるという利用者や送迎サービスがあることで生活ができる利用者の家族も多い傾向です。送迎車の中という自宅でもない施設の中でもない特別な空間の中で、いつもと違う話ができると送迎を楽しみにしている利用者もいます。利用者側にとっては送迎サービスがあることは大変便利でうれしいことだといえます。送迎に出かける職員は事業所と家族をつなぐ大切な存在であり、送迎に使う自動車は事業所の宣伝をする役目も果たしています。それから自宅の中まで入って送迎する対応をとっているデイサービスの事業所は多いというのが実情ですが、対応している事業所では遠慮することなくサービス提供時間としてきちんと介護報酬を請求しましょう。

送迎サービスがあってもデイサービスが提供しているプログラムに魅力がないと利用者も集まりにくいといえます。しかし魅力あるプログラム作りに欠かせないのは魅力的な職員の能力です。介護職の不足が問題となっていますが、優秀な人材を確保して長く勤務してもらうことで加算ができるルールもあります。利用者の介護にあたる職員が生き生きと働くことのできる環境作りを心がけることもデイサービス事業所の事業主にとって大切な使命といえるのではないでしょうか。

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